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2015年11月号 
「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのはこの時ですか」(使徒言行録1:6)
主任司祭 カレンガ神父

    ご存知のように、日本では通常、年度初めの春が人事異動の時期にあたります。この時期になると職場や学校など別れや新しい出会いがあります。また同時に、新しい試みがもたらす不安や期待を、皆さんは体験されているのではないでしょうか。大阪教区でも人事異動は春頃にありますが、だいたい2月頃には分かります。

  コンゴのキンシャサ教区の人事異動の発表は8月です。人事異動後、次の日曜日に転勤先へ挨拶に行くことが多いのです。私は以前、転勤先での挨拶から帰って来た一人の神父に会いました。その神父に転勤先の教会の様子を聞くと、彼は次のように言いました。『前主任司祭は信徒に印象に残る宣教活動をしたので、新主任司祭の私のことを、前主任司祭の働きをダメにするのではないかという疑わしい目で見られていたようです』。その答えを聞いて、私は頭の中でいろんなことを考え始めました。生まれた時、淳心会に入会した時、日本に来た時、色んな教会に派遣された時、どんな印象を与えていたのだろうかと。

  すべての出会いにおいて、人物の印象は、第一印象でほとんど決定されると言われています。そこで、イエス様の周りに集まった人たちは、イエス様にどんな印象を受けたのかと聖書に問いかけたのです。聖書をじっくり読むと、一貫して変わらなかった弟子たちのイエス様に対するイメージに気づきます。それは、弟子たちにとって、イエス様はスーパーマンのようなもので、ローマの支配から、解放してくださる方です。イエス様の復活後に弟子たちは、はっきりと告白するのです。
「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのはこの時ですか」(使徒言行録1:6)と。
この機会にイエス様は、弟子たちのご自分に対するイメージを修正します。しかし、イエス様は弟子たちの期待を完全に裏切りませんでした。イスラエルという、今、見える国ではなく、罪によって倒れていた世界、神の国を、聖霊の力によって、みんなで建て直そうではないかとイエス様は答えました。

  大切なのは「いつ」ではなく、むしろ今、神の国の証人となることです。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そしてエルサレムばかりでなく、ユダとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、私の証人となる。」(使徒言行録1:8)

  宝塚教会共同体を、第二の生活の場としている私たちが、力を合わせて、聖霊に心を開き、その働きによって神の国の建設に役立てられますように。


 

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